- 遺骨を取り出す前に必要な準備(改葬許可証・閉眼供養)
- 取り出し当日の流れと所要時間
- 取り出しにかかる費用の内訳
- 土葬の遺骨や骨壷が破損している場合の対応
- 取り出した遺骨の保管方法と移動の注意点
墓じまいで遺骨を取り出すとき、「自分で掘り出さなければならないのか」「どんな手続きが必要なのか」と不安を感じる方は少なくありません。遺骨の取り出しは石材店が行うため、遺族が自分で掘る必要はありません。ただし、事前に改葬許可証の取得と閉眼供養の手配が必要です。この記事では、遺骨を取り出す手順・費用・特殊なケースへの対応まで丁寧に解説します。
遺骨を取り出す前に必要な準備
遺骨の取り出しは「当日の作業」よりも「事前の準備」のほうが重要です。必要な書類が揃っていなかったり、閉眼供養の手配が間に合わなかったりすると、予定通りに進められません。ここでは取り出し前に済ませておくべき3つの準備を解説します。
改葬許可証を取得しておく

改葬許可証を取得しておくについて詳しく教えて!
遺骨を今のお墓から取り出して別の場所に移すためには、事前に「改葬許可証」を取得する必要があります。改葬許可証とは、遺骨を法的に正しい手続きで移動させるための許可書のことです。この書類がないまま遺骨を移すことは、墓地埋葬法で禁止されています。
改葬許可証はお墓がある市区町村の役所(戸籍課や環境課)で発行されます。申請に必要な書類は以下の3点です。
| 必要書類 | 入手先 | ポイント |
|---|---|---|
| 改葬許可申請書 | お墓がある自治体の窓口 | 遺骨1柱ごとに1枚必要 |
| 埋蔵証明書 | 現在のお墓の管理者(寺院・霊園) | 「ここに遺骨が納められている」という証明 |
| 受入証明書 | 新しい納骨先(霊園・寺院・散骨業者) | 「遺骨を受け入れる」という証明 |
改葬許可証は遺骨1柱ごとに1枚必要です。たとえばお墓に3人分の遺骨がある場合、申請書も3枚分作成します。書類を揃えて役所に提出すれば、3日〜1週間ほどで改葬許可証が交付されます。
閉眼供養(魂抜き)を手配する
遺骨を取り出す前に、お墓に宿っているとされる魂を抜くための法要「閉眼供養(魂抜き)」を行います。閉眼供養をすることで、お墓が「供養の対象」から「ただの石」に戻ると考えられています。
閉眼供養を行わずに遺骨を取り出すことは法律違反ではありませんが、宗教的なマナーとして避けるべきとされています。ご先祖様を大切に思うご家族であればなおさら、きちんと供養をしてから取り出すことをおすすめします。
僧侶への依頼は1〜2週間前に連絡するのが目安です。寺院墓地の場合はそのお寺の住職に依頼するのが自然ですが、公営墓地や民営霊園の場合は別途僧侶を手配する必要があります。お布施の相場は3万円〜10万円で、宗派や地域によって差があります。
お墓の遺骨の数と状態を確認する

この点をしっかり押さえておけば、安心して次のステップに進めますよ。
当日の流れを時系列で整理しました。すべてを自分で段取りする必要はなく、石材店や僧侶が進行してくれるので安心してください。
- お墓の掃除をする(前日または当日の朝)
- お供え物(花・線香・お菓子・お水など)を準備する
- 僧侶にお布施を渡す(読経の前にお渡しするのがマナー)
- 僧侶が読経を行い、参列者が焼香する(約20〜30分)
- 閉眼供養の終了後、石材店がカロート(納骨室)の蓋を開ける
- 石材店が遺骨を一つずつ丁寧に取り出す
- 取り出した遺骨の数と状態を家族が確認する
- 必要に応じて新しい骨壷に移し替える
カロートとは、墓石の下にある遺骨を納めるスペースのことです。石材店がカロートの蓋石を外して遺骨を取り出してくれるので、遺族が重い石を動かしたり、穴を掘ったりする作業はありません。
取り出しにかかる費用の内訳
遺骨の取り出しにかかる費用は、閉眼供養のお布施が中心です。取り出し作業自体は墓石撤去工事の費用に含まれていることが多く、別途の作業費がかからないケースがほとんどです。
| 項目 | 費用の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 閉眼供養のお布施 | 3万円〜10万円 | 宗派・地域で異なる |
| 遺骨取り出し作業費 | 0円〜3万円 | 撤去工事費に含まれることが多い |
| 骨壷の新調 | 5,000円〜2万円/1個 | 既存の骨壷が使えない場合 |
| 遺骨の洗浄・乾燥 | 1万円〜3万円/1柱 | 水没・汚損している場合 |
| 粉骨(散骨予定の場合) | 1万円〜3万円/1柱 | 2mm以下に粉砕 |
見積もり段階で「遺骨の取り出し費用は工事費に含まれていますか」と必ず確認してください。含まれていない場合は別途1万円〜3万円かかることがあります。
当日の立ち会いは必要か
法律上、遺族の立ち会いは必須ではありません。しかし、できる限り立ち会うことをおすすめします。理由は3つあります。
1つ目は、遺骨の数と状態を直接確認できることです。想定と異なる遺骨が見つかる場合もあり、その場で判断が求められることがあります。2つ目は、ご先祖様への最後の供養の機会であること。3つ目は、石材店とのコミュニケーションがスムーズになることです。
遠方で立ち会いが難しい場合は、石材店に写真や動画の撮影を依頼し、取り出した遺骨の状態を記録してもらいましょう。後日、写真を見ながら遺骨の確認ができます。
特殊なケースへの対応
すべてのお墓が同じ状態とは限りません。古いお墓では土葬の遺骨が残っていたり、骨壷が破損していたりすることがあります。ここでは一般的ではないケースの対処法を詳しく解説します。
土葬の遺骨を取り出す場合
昭和初期以前のお墓では、火葬せず遺体をそのまま土中に埋葬(土葬)しているケースがあります。日本で火葬が義務化されたのは戦後のことで、地域によっては昭和30〜40年代まで土葬が行われていました。
土葬の場合、骨壷はなく、遺骨は土と混ざった状態になっています。埋葬から数十年以上経過していると、遺骨自体がほとんど残っていないこともあります。対応方法は、遺骨がある場所の周囲の土ごとすくい取り、新しい骨壷に入れるのが一般的です。
石材店は土葬のケースにも対応した経験を持っていることが多いため、見積もりの段階で「土葬の可能性がある」と伝えておきましょう。土葬の場合は通常より取り出しに時間がかかることがあり、追加費用が発生するケースもあります。
骨壷が割れている・水が溜まっている場合
長年カロート内に安置されていた骨壷は、地下水の浸入や温度変化の影響で、ひび割れや水没が起きていることが珍しくありません。特に地下式のカロートは水が溜まりやすく、骨壷の半分以上が水に浸かっている状態で見つかることもあります。
骨壷にひびが入っている場合は、新しい骨壷に移し替えます。骨壷の費用は1個あたり5,000円〜2万円です。水没した遺骨は、専門業者に洗浄・乾燥を依頼することができます。費用は1柱あたり1万円〜3万円で、作業には1〜2週間かかるのが一般的です。
散骨や手元供養を予定している場合は、粉骨業者に依頼すると洗浄・乾燥・粉骨をまとめて行ってくれることが多く、別々に頼むよりも費用を抑えられます。
取り出した遺骨の保管と移動方法
新しい納骨先がすぐに決まらない場合、遺骨を自宅で一時的に保管することは法律上まったく問題ありません。日本の法律では、遺骨を自宅に安置することを禁止する規定はないからです。
自宅で保管する際は、以下の点に気をつけてください。
- 風通しのよい部屋に安置する(湿気がこもるとカビが生えることがある)
- 直射日光が当たらない場所を選ぶ
- 骨壷の蓋はしっかり閉める
- 仏壇がある場合は仏壇の近くに安置すると自然
遺骨を移動する際は、骨壷が割れないように緩衝材で包み、安定した場所に置いて運びます。車で移動する場合は、助手席の足元やトランクの安定した場所に置きましょう。遺骨の移動に特別な許可は必要ありませんが、改葬許可証は必ず携帯してください。
一時保管の期間が長くなりそうな場合は、寺院の預かりサービスを利用する方法もあります。月額1,000円〜5,000円程度で遺骨を預かってくれる寺院があります。
まずは複数社から見積もりを取り、費用の全体像を把握することが最初の一歩です。
まとめ
墓じまいでの遺骨の取り出しは石材店が行うため、遺族の作業負担は少なく済みます。事前に改葬許可証の取得と閉眼供養の手配を済ませておくことが最も大切な準備です。土葬のケースや骨壷の破損にも、石材店が適切に対応してくれるので、心配な点は事前に伝えておけば安心です。
- 取り出し前に改葬許可証の取得と閉眼供養の手配が必須
- 作業は石材店が行い、遺族が掘り出す必要はない
- 当日の所要時間は1〜2時間程度
- 土葬・骨壷破損のケースも石材店が対応可能
- 自宅での一時保管は法律上まったく問題なし
- 改葬許可証は遺骨1柱ごとに必要

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